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サードパーティ・クッキー廃止が3度目の延期へ

広告効果を高めるためのリターゲティング広告などに活用されていたサードパーティ・クッキーですが、廃止の方向が決まっています。サードパーティ・クッキーの代替を探している人も多いでしょう。Googleでは、廃止の延期が繰り返されており、2024年4月に3度目の延期が発表されました。3度目の延期の理由や今後の予想、各ブラウザの動向などを解説します。対策を検討する際に、参考にしてください。

サードパーティ・クッキー廃止の3度目の延期について

2024年末までにサードパーティ・クッキーを段階的に廃止する予定が発表されていました。しかし、2024年4月23日に、延期を発表。サードパーティ・クッキー廃止の延長はこれで3度目です。ここでは、廃止延期の理由や今後の予想、各ブラウザの状況などを解説します。対応を検討する際の参考にしてください。

理由は利害調整

Googleの発表によると、サードパーティ・クッキー廃止の延長の理由は「業界、規制当局、開発者からの異なるフィードバックを調整することに関連する課題が継続している」としています。

英政府競争規制当局の競争・市場庁(CMA)が、プライバシーサンドボックスの取り組みに対して、「業界テストの結果を含むすべての証拠を検討するための十分な時間を確保することが重要」としています。プライバシーサンドボックスとは、サードパーティ・クッキーの代替手段としてGoogleが開発を推進してきたシステムです。

また、米インタラクティブ広告協会(IAB)は、同団体の研究組織「Tech Lab」が公開した分析リポートの中で、「我々の調査では、業界内での準備がまだできておらず、広告の重要な目的を達成するための機能が十分ではないことが判明した」としています。このリポートに対しては、Googleから不正確な情報であるという趣旨の反論が表明されました。

他にもIBAヨーロッパが関連事業者167社に実施した調査において、半数以上がプライバシーサンドボックスのテストをしていなかったり、Googleが導入しようとしている機能が不明瞭と感じていたり、包括的なソリューションの必要性を感じていたりと、混乱している状況が分かりました。

このような利害関係の調整が上手くいっていないことが、3度目の延期理由と考えられています。

過去2回の延期の流れについて

これまでの流れを確認していきましょう。2017年9月にAppleがSafariで3rd Party Cookieの制限を開始しました。2019年8月にGoogleがプライバシーサンドボックス構想を提唱します。プライバシーサンドボックスは、プライバシー保護と広告の効率化を両立できる技術として開発が進められているものです。

そして、2020年1月にGoogleが2022年年末までにサードパーティ・クッキーを廃止すると表明しました。2021年1月にCMAが「Googleが自社に有利な仕組みを取り入れようとしていないか」の調査をスタートします。この影響を受け、2021年6月、サードパーティ・クッキー廃止の計画完了を2023年後半まで延長すると発表しました。これが、1回目の延期です。

その後、CMAとの協議を重ね、2022年1月にプライバシーサンドボックスの新方式が公表されます。この新方式のテストを行う中で、開発者・パブリッシャー・マーケティング担当者、規制当局などから、「新技術の評価・テストを行うための時間が必要」というフィードバックが寄せられます。このことで、2024年後半まで再延期をすることになりました。これが、2回目の延期です。

2024年1月には、GoogleがChromeユーザーの1%に対してサードパーティ・クッキーの制限をスタートしますが、4月に3回目の計画の延期が発表されました。

今後の予測

Googleの発表では、「CMAなどを連携し、2024年までにプロセスを完了。2025年の早い時期にサードパーティ・クッキーの廃止を進めることを想定している」とのことです。2024年度中は、サードパーティ・クッキーを使えると考えられます。

この計画通りであれば、2025年に入ってから、段階的にサードパーティ・クッキーの廃止が進められていくことが予想されます。これまでに3回の延期があり、調整が上手くいっていないことから、1年以内に状況が改善されなければ4回目の延期があるかもしれません。

しかし、サードパーティ・クッキー廃止自体は既定路線です。あとは時期の問題なので、対応は早めにしておく必要があります。

各ブラウザの規制状況について

サードパーティ・クッキー廃止は、各ブラウザが個別に進めています。広告の効果解析のためには、ブラウザがどのような規制を行っているかを考慮しなければいけません。Apple Safari、Microsoft「Edge」、Mozillia「 Firefox」の規制状況をまとめておきます。

Apple Safari

数あるブラウザの中で、率先してCookie規制を進めたのが、Apple社の標準ブラウザである「Safari」です。2020年3月のアップデートでサードパーティ・クッキーを完全にブロックしました。

Apple社では、先んじて、ターゲティング広告がプライバシーの侵害になると考え、Safariへのトラッキング防止機能として「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」を搭載しています。2017年9月から広告のリターゲティング、購入時のアクセス方法、ユーザーのトラッキングを制限するITPを実装してサードパーティ・クッキーの制限をかけていました。

ユーザーのプライバシー保護に対して積極的に取り組んでいます。

Microsoft「Edge」

Microsoft社の標準ブラウザである「Edge」では、危険度の高いトラッカーをブロックする「追跡防止機能」が搭載されています。

2024年3月5日に、クッキーの代替策となる「Ad Selection API」を発表。サードパーティ・クッキーやクロスサイトトラッキングに依存しなくてもユーザーの関心に即した広告が掲出できるようにするとしています。

並行して、数ヶ月以内に1%未満の個人ユーザーを対象として、サードパーティ・クッキーの非推奨に関する実証実験を実施すると発表しています。

Mozillia「 Firefox」

「Firefox」は、Mozilla社の標準ブラウザです。「強化型トラッキング防止」と「包括的Cookie保護」機能をデフォルトで設定しています。初期設定では、トラッカーのサードパーティ・クッキーのみ、デフォルトでブロックを有効にしています。トラッカー以外のサードパーティ・クッキーはサイトごとに隔離保存する設定になっています。設定画面からブロックするクッキーをカスタマイズすることが可能です。設定すれば、すべてのサードパーティ・クッキーをブロックすることもできます。ただし、知識がなければ設定をカスタマイズすることもできないため、そのまま使うユーザーが多いでしょう。

3度目の延長でも対策は早めにしておこう

これまでに2度延期となっていたサードパーティ・クッキー廃止に向けた計画ですが、2024年4月に3度目の延期が発表されました。インターネットは、広告によって無料で使えるようになっています。広告の効果とユーザーのプライバシーの両立を目指して代替技術の開発が進められていますが、代替技術の検証をはじめ利害調整が進んでいないことが延長の原因となっているようです。

Googleでは、次の目標として2025年に入ってから順次の廃止を掲げています。再度の延期の可能性もありますが、最終的に廃止されること自体は止められないでしょう。また、Apple社の「Safari」ではすでにサードパーティ・クッキーがブロックされており、他のブラウザもブロックの方向に舵を切っています。今後のためにも、早めに対策は検討しましょう。

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