CDPとデシル分析
顧客を購入金額で十分位に分類するのがデシル分析です。顧客の分布を可視化し、どこにコストをかけるべきかを考えて配分を調整するための分析手法となります。CDPを使うことでデータがまとまり、効率的な運用が可能です。
デシル分析の基本
全顧客を購入金額の多い順に並べ、上位から十等分し、デシル1〜10を定義します。デシル1は上位10%の高価値顧客層です。デシル10は下位10%の顧客層です。各層の売上寄与を比較し、偏りを把握します。
CDPで高まる精度と柔軟性
CDPはチャネルを横断して購入データを統合できます。顧客情報と紐づけて、総購入金額を正確に集計できるようになります。期間やカテゴリの切り替えも簡単に行え、「直近一年」「特定カテゴリ」などの抽出も対応可能です。抽出結果は他ツールへ連携でき、施策までの流れがスムーズになります。
データから意思決定へ
まず、データの分析期間と対象範囲を決めます。次に顧客IDも含めて、購入金額を集計します。これでデシル分析の準備は完了です。出力されたデータを上位から並べ、十等分の境界を決定します。そうしたら、各層の人数と売上構成比を確認し、結果をダッシュボードで共有します。分布を検証し、どこにコストをかけるかの配分と施策案へ落とし込んでいくフェーズです。
デシル1〜2(最上位層)への施策設計
もっとも購入をしてくれる層には、高い貢献を踏まえ、手厚い待遇を設計するのがセオリーです。例えば、先行販売や限定特典といった優待を設け、こちらからも大切な顧客であるメッセージを伝えます。関係性を強化することは、継続につながるポイントです。担当者の接点を増やすことや優先サポートも検討します。
デシル3〜5(準上位・中核層)への施策設計
購入幅の拡大を狙った施策でアプローチします。セット訴求やまとめ買い特典で単価を高める方法などが候補です。
デシル6〜8(中位層)への施策設計
再来店の動機を用意し、頻度を増やす施策を設計していきます。季節の需要に合わせ、簡潔なオファーを出し、来店の障壁を下げる仕組みでアプローチします。
デシル9〜10(下位・休眠層)
もう一度利用をしてもらうために、期間限定の割引で購入を促すという選択肢などが候補です。期間限定は、期限の定めが来店の動機として早期のアクションにもつながります。
経営視点での活用
デシル分析を経営に活用するのであれば、売上の集中度を比率で定点観測するのがオススメです。「上位何%で、全体売上の何%」と指標化します。そうすることで、上位層への資源配分を定量判断可能になるためです。下位層の育成費も、回収見込みで調整します。こうすることで、対応の優先順位に、指針を与えられます。
在庫・仕入れ・現場運用への展開
上位層が求める商品を確認し、優先的に在庫配分に反映します。良く購入する層が望むものが品切れすると、大きく利益を損なうためです。下位層向けは回転重視の施策を選びます。結果はCDPへ戻し、次の判断に使います。
CDPの連携運用
デシル別の顧客IDをMAへ同期し、メール、アプリ、広告で一貫配信を行います。反応率や購入額は、CDPへ自動で回収できるように整えておきましょう。更新後のランクで施策を自動切替します。この循環でPDCAが加速します。
成功のポイントと注意点
まず、チャネルの分断を解消し、全てのデータが一元集計できるようにします。次に、更新頻度を固定し、季節変動を取り込みます。層内のばらつきに注意し、閾値を定期見直しするのも重要です。そして、数値だけでなく顧客体験の質も測定します。過剰接待や割引の出し過ぎを避けます。
KPI設計と可視化
上位層はLTVと継続率を主要KPIにします。中位層は購入頻度の増加です。下位層は初回率と再購入率を重視します。層別のROIを定めたら、配分方針を検証するようにしましょう。ダッシュボードを使えば、運用を日次で確認できるようになります。
まとめ
デシル分析は価値分布を明快に示し、的確な粒度で上位と下位に効率的に施策を行なえるようにする分析手法です。CDP連携で精度と実行力が上がるため、よりよい改善のために検討してみてください。
