サードパーティクッキーの廃止とその影響は?
世界的にサードパーティクッキー規制の動きが強まっている中、注目されているのが、CDPツールを使ったファーストパーティデータやゼロパーティデータの活用です。ここでは、サードパーティクッキーの廃止と、その影響について解説します。
サードパーティクッキーとは?
ユーザーアクションの分析に不可欠!サードパーティクッキー
クッキーとは、Webサイトを閲覧したユーザーの情報を一時的に保存する仕組みのことです。
クッキーにIDやパスワード、ユーザーのメールアドレスなどの情報が保存されることで、ユーザーはWebサイトへ簡単にログインできたり、ECサイトのカートに商品を残したりできるようになります。
サードパーティクッキーは、アクセスしたWebサイト以外のドメインが発行したクッキーのこと。複数のWebサイトを横断して付与できるため、サイト運営者にとっては、ユーザーがどんな経緯でそのWebサイトにたどり着いたのか、Webサイト内でどんな行動をしているのかを知るのに役立ちます。
サードパーティクッキーは現在、ユーザーアクションの分析に広く活用されています。特に、インターネット広告の手法であるリターゲティング広告や、メディアごとのコンバージョンへの貢献度であるアトリビューションの測定には欠かせません。
ファーストパーティクッキーとの違い
ファーストパーティクッキーは、訪問したWebサイトのドメインから発行されるクッキーです。ログイン情報やカートの保存などに利用されます。ユーザーにとっても利便性が高い機能です。他のサイトとの連携がないため、サードパーティクッキーのようにブロックされることもありません。ドメインを横断したトラッキングが行えないため、応用の幅は限られています。
サードパーティークッキーの具体的な利用方法
サードパーティクッキーの利用方法は、「リターゲティング広告」「アトリビューション分析」「Web広告の効果計測」「アフィリエイト広告」です。
リターゲティング広告は、興味関心の高いユーザーに訴求できる広告手法。ある通販サイトを訪問すると、別のサイトを訪れた時にその通販サイトの広告を見せるといったものです。自社サイトに訪問したユーザーをターゲティングして別のサイト訪問時に広告を配信できます。サイト内に設置するリターゲティングタグにサードパーティクッキーが取り入れられています。
アトリビューション分析は、CVが発生するまでの広告の貢献度を分析することです。どの広告が興味関心を引き出し、その後の購買行動につながったのかを分析します。
Web広告の効果計測では、広告によって資料請求や購入などのCVがどれだけ発生したのか計測するのにサードパーティクッキーを利用します。クッキーへの規制が強まると、管理画面に表示される数値と実際のコンバージョン数が合わないといった事態が発生する可能性があります。
アフィリエイトは、アフィリエイト広告内のリンクをクリックするとLPへ遷移して、サイト運営者に成果報酬が入るシステムです。リンクからLPへ遷移する際、裏側ではサーバーを経由しています。サードパーティクッキーを利用して、広告を掲載していたどのサイトからコンバージョンを得られたのか把握することが可能。これによって報酬を管理する仕組みです。
Googleがchromeでのサードパーティークッキーの廃止を延長
2023年にchromeでのサードパーティークッキーの廃止予定でしたが、2024年に延期されました。段階的に廃止を行っていく予定で、廃止自体は既定路線です。Googleは、Cookieやそのほかの形式のクロスサイト追跡に代わるプライバシー保護技術として、プライバシーサンドボックスAPIを考案。そのAPIの試用版をリリースしています。W3Cなどのフォーラムを通し、開発者、パブリッシャー、マーケティング担当、規制当局の意見に基づき、設計提案を改善してきたものです。ただし、新しいプライバシーサンドボックスのテストは、もう少し時間が必要ということになり、テスト期間を確保するため、廃止時期を延長したという流れです。プライバシーサンドボックスのAPIは2023年第3四半期までにリリース予定。Chromeで一般提供される予定となっています。
Microsoftも、Microsoft Edgeにおけるサードパーティークッキー廃止に向けて動き出しています。1%未満のEdgeの個人ユーザーを対象に、サードパーティクッキーを非推奨化する実験を開始し、将来的にはEdge全体の初期設定でサードパーティクッキーをブロックする方針です。
他の方法の構築が急務
ユーザーの意図しない形で個人情報が流用されているケースもあり、プライバシー保護の観点から、世界的に規制の動きが強まっているのです。実際にAppleでは、Safariへのサイトトラッキングを防止する機能を導入し、2020年にはサードパーティクッキーを完全削除しました。
延長されたとはいっても、廃止が撤回されることは考えられません。サードパーティクッキーに替わる仕組みの構築は急務です。
今後はサードパーティクッキーを活用せずに、広告運用やマーケティングを行う方法を構築することが必要になるでしょう。
サードパーティクッキーに
代わる技術とは?
注目が集まるゼロパーティデータ
サードパーティデータの収集が難しくなる中、注目を集めているのが、ファーストパーティデータやゼロパーティデータです。
ファーストパーディーデータとは、「企業と顧客との直接的な関わりによって得られた顧客データ」のこと。自社のウェブサイトやアプリの閲覧情報、社内で企画したアンケートデータなど、オフライン・オンラインを問わず、自社で収集したデータのことを言います。
ゼロパーティデータは、さらに一歩踏み込んで、ユーザーが自主的に企業に提供するデータのこと。ユーザー自身の身長・体重や好きな色、好きなコーディネートなどの趣味趣向や購入意向などを伝え、メーカー側はそれに応える形でサービスを提供します。
CDPツールで顧客の特徴を把握しよう
こうしたファーストパーティデータやゼロパーティデータを収集・統合して、一元的に管理できるのがCDPツールです。
CDPツールを活用することで、顧客単位でデータを紐付けることができる上、そのデータを元に自社の顧客理解を進め、マーケティングや顧客アプローチを行ったり、サービスの向上を測ったりすることができます。
ファーストパーティデータを活用するためには、まず、データを収集するだけでなく、整理、統合し、活用するための基盤を構築しなくてはなりません。
CDPツールなら、社内外に散在するデータを集約して、管理・分析することが可能。ファーストパーティデータを活かして、精度の高い顧客サービスや、効果的なマーケティング施策を立案することができるでしょう。
こちらのページでは、4つのニーズ別におすすめのCDPツールをご紹介していますので、ぜひご参考にしてください。