CDPとセキュリティ対策のポイント
CDPで考えたいセキュリティ
顧客データプラットフォーム(CDP)は、機密データが多数格納されるため、セキュリティ対策がしっかりしているかも選択の基準となります。格納されるメールアドレス、行動ログ、購買履歴、医療・金融情報などは企業のコア資産であり、一度漏えいすればブランド毀損や巨額の制裁金に直結するためです。
「機能が豊富か」という点も重視すべきポイントですが、業務として使う以上、ツールや運用のセキュリティ水準にも注目しておきましょう。以下の三層に対応した設計が欠かせません。
- 個人情報保護委員会のガイドラインやJIS規格
- 金融・医療など業種特有の国内ガイドライン
- グローバル展開企業であればGDPRやCCPAなど海外法規
以下では主要な基準や認証ごとにポイントを整理します。
プライバシーマーク
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が付与する国内プライバシー保護認証。JIS Q 15001に基づき、個人情報の取得・利用・提供フローを文書化し、継続的改善を求めるのが特徴です。
ISO/IEC 27001
国際標準の情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)。リスクアセスメントを軸に、組織から物理・技術的管理策まで包括的に網羅します。
クラウド型CDPの場合はデータセンター/SaaS運用主体の認証取得状況を確認し、サブプロセッサーも含めたISO27001範囲を要求することが肝要です。
FISCガイドライン
金融情報システムセンターによる「安全対策基準」。資金移動や決済情報をCDPに連携する金融機関は遵守が必須です。
多重認証の徹底、ログ保全期間(7年以上推奨)、外部委託先の再委託管理など金融特有の厳格性が求められます。
HIPAA準拠
医療データを扱う場合は米国医療保険の保護規則(HIPAA)に準拠できるかをチェック。暗号化と監査証跡、BAA(Business Associate Agreement)締結、アクセス制御ポリシーが要件となります。
医療系スタートアップが米市場を見据える際の必須チェック項目です。
GDPR準拠
EU/EEAの居住者データを保存・処理する場合はGDPR対応が必要。個人データの最小化、保存期間の明確化、データ主体の「忘れられる権利」への応答、国際データ移転時のSCC(標準契約条項)運用などをCDP側が支援するか確認しましょう。
CCPA準拠か
カリフォルニア州消費者プライバシー法。オプトアウト機能の提供、データ販売(Sale)の定義への対応、「Do Not Sell My Personal Information」リンクの実装がキモです。
米国向けEコマースを運営する場合、GDPRより緩いと思い込まず要件整理が必要です。
まとめ
CDP導入ではデータ分析の強さだけでなく、多層的なセキュリティ・コンプライアンス適合も重要です。
国内向けならプライバシーマークとISO27001、金融ならFISC、医療ならHIPAA、グローバル展開ならGDPR/CCPA。自社データが取り扱う内容と活用する地域を考え、運用体制も含めて考えることで、マーケティング成果と信頼、リスクの軽減を実現できます。
